浜辺にまつわるまとめ

浜辺、海に関する個人的なメモみたいなものです。

方財海岸(宮崎県延岡市)における侵食問題の報道について

今年9月の台風10号以降、宮崎県延岡市の方財海岸で侵食が問題になっているとの報道がありました。

緩傾斜護岸の表法面に陥没が発生したとのこと。護岸前面の砂浜が消失してしまった場合、護岸内部の土砂が吸い出されて陥没が発生するという、よくあるパターンの被災です。

この場所を地理院地図で確認したものが写真-1。

五ヶ瀬川の河口に形成された砂洲部分が方財海岸のようです。

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写真-1 方財海岸の空中写真

写真から察するに、もともと不安定な河口砂洲であったところが宅地化された場所のようです。河口砂洲は本来、不安定なもので、その形状は常に変動するのが自然の姿ですが、そこを宅地化するために固定化してしまたったのがそもそもの原因と思われます。

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写真-2 緩傾斜護岸設置部分の拡大写真

被災が起きたと思われる緩傾斜護岸の部分を見てみると、写真-2のように周囲よりも海側に張り出して公園緑地が存在していることがわかります。

すなわち、もともと全体が不安定な場所であったうえに、さらに無理をして海側に進出してしまった地点があったために被災が起きたのではないかと考えられます。

自然の砂浜を潰してまで公園を整備する必要があったのかどうか?

侵食問題として海岸管理者を責める前に、そもそもの都市計画が砂浜の動態を無視したものであったのではないかと思います。

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図-1 宮崎県津波浸水想定 方財海岸周辺の抜粋

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図-2 津波浸水想定凡例

ちなみに、宮崎県が公表している津波浸水想定から当該箇所の部分を抜粋したのが図-1です。

背後の宅地から浸水範囲外へ通じる道は河川沿いの細い1本のみ。その道路も砂地盤の上なので、津波が来る前の地震で被災する可能性が高く、とても危険な場所だと思います。